【コラム】Dosinoサンプル移送によるCVSルーチン分析の効率向上
2024/07/01
記事
電子部品はますます小型化・高性能化が進んでおり、その結果として製造工程をより厳密に監視する必要性が高まっています。サイクリックボルタンメトリックストリッピング(CVS)は、例えばプリント基板(PCB、PWBとも呼ばれる)の製造や、半導体の先進パッケージングにおいて使用されるルーチン分析技術です。増加するサンプル数に対応するためには、スマートな自動化ソリューションが必要です。この記事では、CVS分析システムの利便性と効率を向上させるための、サンプル添加およびサンプル移送におけるDosinoの使用について説明します。
Dosinoを用いた自動サンプルハンドリングの改善
CVSによるめっき浴中の有機添加剤の測定では、電気化学測定そのものに加えて、液体ハンドリングが重要な要素です。補助溶液の自動添加には、一般的に(メトロームのDosinoのような)分注装置が使用されています。サンプルの添加にもDosinoを使用することは、自動化における次の論理的なステップにすぎません。
このアプローチでは、サンプルをDosino内に吸引します。その後、測定シーケンス中の適切なタイミングで、必要量のサンプルを測定容器へ正確に分注します。
最大の利点は明らかです。サンプルをピペットで分注する必要がなくなります。オペレーターはサンプルを準備し、測定を開始するだけで済みます。それ以外の作業はすべてシステムが自動的に実行します。これはオペレーターにとって非常に便利です。さらに、自動容量測定により、測定結果はユーザーに依存しなくなり、人的ミスが起こりにくくなります。これにより最終的に、結果の正確性、反復性、および再現性が向上します。
もう一つの利点は、1つのサンプル中で複数の添加剤を測定しなければならない場合に現れます。各測定の前に807 Dosing Unitを再度準備する必要がなく、必要なすべてのアプリケーションを同じサンプルバイアルから実行できます。
Dosinoによるサンプル移送は、さまざまなシステム構成に適用できます。以下のセクションでは、サンプルチェンジャーなしの場合とありの場合の2つの例について説明します。
サンプルチェンジャーを使用しない半自動CVSセットアップ
Dosinoによるサンプル移送の基本構成は、1台の800 Dosino(5 mLの807 Dosing Unit付き)と843 Pump Stationで構成されます。補助溶液および標準液の分注用として、目的のアプリケーションの要件に応じて追加の800 Dosinoを選択できます。
図1は、CVS測定用の半自動セットアップの例を示しています。すべての溶液は自動的に添加されますが、このシステムにはサンプルチェンジャーは含まれていません。
この例では、VMS(virgin make-up solution)、サプレッサー濃縮液、ブライトナー濃縮液、およびレベラー濃縮液用として、さらに4台のDosinoが利用できます。
半自動CVSセットアップで作業する場合、Dosinoサンプル移送は、これまでに説明した利点に加えて、さらに多くのメリットを提供します。
従来の手動または半自動CVSセットアップでは、ブライトナーおよびレベラー測定において、切片値または電解液値を設定した後にユーザーがサンプルを添加します。これは、測定中にユーザーの操作が必要であることを意味します。Dosinoサンプル移送により、この操作は不要になります。この場合、ユーザーは吸引チューブをサンプル容器に浸し、測定を開始するだけで済みます。ユーザーがシステムに戻った時には測定は完了しており、測定容器および電極は洗浄されています。
これは単一の測定に限定されません。サプレッサー、ブライトナー、およびレベラーの測定を、ユーザーの操作なしで連続して実行することも可能です。図2は、半自動システムでめっき浴サンプル中の3種類の添加剤を測定する際に、Dosinoサンプル移送の有無によってオペレーターがどの程度関与しなければならないかを示しています。
Dosinoサンプル移送を使用することで、ユーザーの作業負荷が軽減され、他の作業に充てる時間を確保できることは明らかです。それに加えて、切片値または電解液値の測定からサンプル添加までの遅延が回避されるため、結果の信頼性および正確性も向上します。
サンプルチェンジャーを備えた半自動CVSセットアップ
Dosinoサンプル移送の利点は、サンプルシリーズを自動処理するためのサンプルチェンジャーを含む全自動セットアップを使用することで最大限に発揮されます。
この目的のために、858 Professional Sample Processorの専用バージョンが用意されています。このバージョンは、ペリスタルティックポンプの代わりに、800 Dosinoおよび807 Dosing Unitを装備しています。
図3は、Dosinoサンプル移送を備えた全自動CVSセットアップであるMVA-24 システムシステムの構成要素を示しています。また、特定のアプリケーション要件に合わせて分注装置を調整したり、919 IC Autosampler plusを使用したりすることも可能です。
Dosinoサンプル移送により、サンプルシリーズの初期準備が簡素化されます。サンプルチェンジャーラック上のサンプルバイアルは、手動でピペット操作を行うことなく充填できます。さらに、このセットアップでは使用するサンプル量に関してより高い柔軟性が得られます。0.01 mLから10 mLまでのサンプル量を、高い精度で自動分注できます。
Dosinoサンプル移送を備えたCVSセットアップでは、サンプルチェンジャーの処理能力をより効率的に活用できます。必要なすべての測定(例:サプレッサー、ブライトナー、レベラー)を同じサンプルバイアルから実行できます。そのため、1つのサンプルはサンプルチェンジャーラック上の1つのポジションしか使用しません。さらに、必要な洗浄ポジション数が少なくなるため、サンプルチェンジャーラックの総容量が増加します。サンプルシリーズの実行中、分注シリンダーは常に次のサンプルで洗浄されます。サンプルシリーズの終了時にのみ、807 Dosing Unitが専用バイアル内の水で自動的に洗浄されます。
Dosinoサンプル移送セットアップにおける異なる要件の組み合わせ
独自設計のMetrohm Dosinoは、0.01 mL~50 mLの容量を高精度で添加できます。マイクロリットル(µL)範囲の容量の分注と、ミリリットル範囲の容量の添加では、セットアップに求められる要件が異なります。図4に示すDosinoサンプル移送セットアップは、これらの要件を理想的な方法で満たします。
807 Dosing Unitのポート(1)にはキャピラリーチューブが接続されており、これは測定溶液内に浸されます。このチューブにより、DT(dilution titration)によるサプレッサー測定において、標準液またはサンプルの少量容量(0.01 mLまで)の添加が可能になります。
ポート(3)には、より大きな内径のチューブが接続されており、MLAT(modified linear approximation technique)によるブライトナー測定や、RC(response curve)によるレベラー測定において、より多量のサンプルを迅速に添加することができます。
まとめ
Dosinoサンプル移送は、CVSルーチン分析においてユーザーに次のような利点を提供します。
- 操作の簡素化と利便性の向上
- 結果の信頼性および正確性の向上
- システムのより効率的な活用とサンプルチェンジャー容量の向上
- 分析時間の短縮によるサンプル処理能力の向上