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パルスアンペロメトリー検出ICによるインスタントコーヒー中炭水化物測定

AN-P-086

2021-03

パルスアンペロメトリー検出ICによるインスタントコーヒー中炭水化物測定

Free and total carbohydrate determination with IC-PAD according to AOAC 996.04 and ISO 11292


概要

コーヒーは、経済的に非常に重要な、きわめて人気の高い飲料です。そのため、コーヒー中の混入物の追跡を含む品質保証は確立されたプロセスであり、消費者にとっての要件でもあります。

コーヒー生豆の最大50%を占める炭水化物は、風味、粘性、香りを与える成分として機能します[1]。また、混入物のないインスタントコーヒーは純粋な焙煎コーヒーのみから作られるため、炭水化物は真正性のトレーサーとしても役立ちます[2,3]。ISO 24114およびAFCASOLEによる品質評価のために、明確な規格基準が定められています(例:全炭水化物に対する質量分率として表した、全グルコース2.46%未満、全キシロース0.45%未満という上限)[3]。AOAC 996.04およびISO 11292は、遊離炭水化物と全炭水化物の分析に関して、インスタントコーヒーの品質試験における分析要件を示しています。イオンクロマトグラフィー(IC)により、AOACおよびISOに従って必須の分析対象物であるアラビノース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース、スクロース、マンニトール、キシロースを正確に定量できます。ここで紹介するIC法はきわめて高感度であり、ラムノースなどに見られるような、分析対象物の共溶出が起こり得るというごく一般的な課題を克服します。


構成


サンプルとサンプル前処理

2種類のインスタントコーヒーブランド(Jacobs coffee GOLDとお客様のサンプル)のインスタントコーヒー粉末(100 mLあたり約300 mg)を、AOACおよびISOに記載されている方法に従って調製し、遊離炭水化物(アラビノース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、マンノース、スクロース、マンニトール)と全炭水化物(アラビノース、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロース、マンニトール)の量を酸加水分解後に求めました。

遊離炭水化物の測定では、コーヒー粉末を超純水(UPW)100 mLに溶解し、その後ろ過(0.25 μm)しました。全炭水化物の分析では、コーヒー粉末をHCl(0.1 mol/L)中、100 °Cで加水分解(150分)し、UPWで100 mLに希釈した後、Ag+-H+カートリッジの組み合わせでろ過しました。最終的にUPWで10~50倍に希釈することを推奨します。


実験

上記で指定した溶解(遊離)炭水化物および全炭水化物の分析対象の炭水化物は、二元高圧グラジエントと流量グラジエントを組み合わせて(940 Professional IC Vario ONE/HPG構成)、Metrosep Carb 2カラムでベースライン分離されました(図1)。本法の検出感度を向上させるため、300 mmol/L NaOHを用いたPCRの後にアンペロメトリー検出を行いました。

Schematic showing the sample flow path from sample introduction with an 858 Professional Sample Processor, to the 940 Professional IC with column (Metrosep Carb 2 - 250/4.0), amperometric detector (Wall-Jet cell with Au and Pd electrodes), and the high pressure gradient pumps for eluent A (UPW) and B (200 mmol/L NaOH and 1 mmol/L NaAc). To increase sensitivity, 300 mmol/L NaOH is added as a PCR (Post Column Reaction) solution. Chromatography for anions is often referred as HPAEC (high performance anion exchange chromatography) but is simplified here to the generic term of IC.
図 1. 858 Professional Sample Processorによる試料導入から、カラム(Metrosep Carb 2 - 250/4.0)とアンペロメトリー検出器(AuおよびPd電極を備えたウォールジェットセル)を備えた940 Professional IC、そして溶離液A(UPW)と溶離液B(200 mmol/L NaOHおよび1 mmol/L NaAc)用の高圧グラジエントポンプまでの試料の流路を示した概略図です。感度を高めるため、PCR(ポストカラム反応)溶液として300 mmol/L NaOHを添加しています。陰イオンのクロマトグラフィーはHPAEC(高性能陰イオン交換クロマトグラフィー)と呼ばれることが多いですが、ここでは総称であるICという用語に簡略化しています。

結果

分析した2種類のインスタントコーヒー試料について、UPWに溶解した後の遊離炭水化物含有量(結果は示していません)は、0.2~27 g/kgの範囲でした。質量分率は両試料で固有のパターンを示しました。Jacobsブランドではアラビノースとマンノースが優勢(約35質量%)である一方、お客様提供のインスタントコーヒーブランドで最大のピークに相当したのは、グルコース(約20質量%)とフルクトース(40質量%近く)でした。

酸加水分解後の全炭水化物含有量は、品質管理と純度評価において特に重要です(表1)。ISO 24114は、全グルコースと全キシロースについて、それぞれ2.32%と0.42%の上限を定めています。試験した両試料の全炭水化物含有量は、明確に異なる分布を示しています(表1および図2)。両ブランドは、ガラクトースとアラビノースを同程度の割合で含んでいます。グルコース、マンノース、キシロースの含有量は、より広い範囲で異なります。

品質基準をより詳しく見ると、Jacobs coffee GOLDの純度は、混入物のない製品として承認できます。お客様提供のブランドは混入を示しており、該当する検査には不合格となります。

表1. 2種類のインスタントコーヒー試料(Jacobs coffee GOLDとお客様のサンプル)において、酸加水分解後にIC-PCR-PADで求めた炭水化物濃度(g/kg)。全炭水化物含有量は、マンニトール、アラビノース、ガラクトース、グルコース、マンノース、キシロースの個々の質量分率(M%)で表しています(ISO 11292)。さらに、ラムノース、フルクトース、リボース、スクロースの定量も可能です(図2)。純度指標は、全グルコース(2.32%未満)と全キシロース(0.42%未満)の上限によって示されます(ISO 24114:2011)。
 Jacobs (g/kg) [M%]お客様 (g/kg) [M%]
マンニトールND9 [2.6%]
アラビノース28.3 [6.5%]36 [10.2%]
ガラクトース190.0 [43.9%]197.8 [56.2%]
グルコース6.3 [1.5%]34.2 [9.7%]
マンノース207.1 [47.8%]68.5 [19.4%]
キシロース1.2 [0.3%]6.7 [1.9%]
全炭水化物含有量436.9 [100%]352.2 [100%]
Chromatogram overlay of (A) a 5 mg/kg mixed carbohydrate standard and the diluted (1:10) samples of (B) Jacobs coffee and (C) customer instant coffee after acid hydrolysis. The separation and detection were performed according to the setup listed in Figure 1. For better performance, quantification of fructose and ribose should be performed using peak height.
図 2. A、B、Cで示された、5 mg/kgの混合炭水化物標準液(A)、および酸加水分解後に希釈(1:10)したJacobsコーヒー(B)とお客様のインスタントコーヒー(C)の試料のクロマトグラムの重ね合わせです。分離と検出は、図1に記載したセットアップに従って行いました。より良好な性能を得るため、フルクトースとリボースの定量はピーク高さを用いて行う必要があります。

まとめ

ここで紹介した方法により、インスタントコーヒー中の溶解炭水化物および全炭水化物の測定に関するAOAC 996.04およびISO 11292の要件が満たされます。Metrosep Carb 2カラムで、二元高圧グラジエントと流量グラジエントを組み合わせることにより、必要な炭水化物の優れた分離を達成できます。本法のさらなる利点として、ISO法に共通する制約であるラムノースとアラビノースのピークの重なりが解消されます。全体として、必要なすべての炭水化物に加え、フコースとリボースについても正確な定量を行うことができます。

自動化とインライン試料前処理は、試料処理能力を高め、ラボの時間とコストを節約するためのさらなる改善策です。

アンペロメトリー検出を用いたICは、炭水化物分析を行う分析ラボにとって、堅牢で、特異性が高く、精密な価値ある追加手段です。


参考資料

  1. ArayaとRao(2007)、Crit Rev Food Sci Nutr. 47(1), 51–67.
  2. Girardら(2006)、J AOAC Int. 89(4), 99–1003.
  3. AFCASOLE(欧州インスタントコーヒー生産者協会)による1995年7月6日付のインスタントコーヒーの真正性に関する声明。2007年1月にECF(欧州コーヒー連盟、AFCASOLEの法的後継組織)により確認されています。
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