カールフィッシャー水分計で使用する指示電極、発生電極の洗浄、保守、保管、点検方法
2021/10/11
記事
カールフィッシャー(KF)水分測定において、電極は終点検出のために必要です。理論的には、カールフィッシャー水分測定の終点は、滴定ですので試薬の色の変化に基づいて判定することも可能ですが、精度や再現性が重要である場合には、二重白金電極を用いた終点検出の方がはるかに優れています。
指示電極は終点を検出するため、測定結果が電極の状態に大きく依存することは想像できるでしょう。電量法では、滴定に必要なヨウ素を生成するために、追加の電極(発生電極)が使用されます。これら両方の電極(すなわち指示電極と発生電極)は、正しい結果をもとめるために良好な状態に保つ必要があります。言うまでもなく、カールフィッシャー電極の洗浄、保管、保守、点検は、成功のための重要な要素です。この記事では、これらのトピックについて詳しく解説します。
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「カールフィッシャー水分計のよくある質問」シリーズでは、お問い合わせの多い質問事項をFAQ形式でご覧いただけます。
電極の洗浄
指示電極の洗浄
二重白金ワイヤー電極または二重白金リング電極は、酸化アルミニウム や歯磨き粉のような研磨性洗浄剤で簡単に洗浄できます。洗浄後は電極を水で十分にすすぎ、滴定セルに取り付ける前に乾燥させてください。カールフィッシャー滴定用指示電極の適切な洗浄手順に関するヒントやコツについては、以下の動画をご覧ください。
二重白金ワイヤー電極のPtピンは曲げないよう特に注意してください。ピンを曲げてしまうと、電極のガラス本体に微小な亀裂が生じる可能性があります。時間の経過とともに試薬が電極内部に侵入し、腐食(短絡)を引き起こすことがあります。このような場合、その電極は修理不能となり、交換が必要です。
代わりに、 二重白金リング電極 を使用することも可能です。この場合、電極のピンが曲がってしまう問題は発生しません。
ダイアフラムなし発生電極は水で洗浄してください。汚染物質が水に溶けない場合は、適切な有機溶媒で洗浄します。発生電極のアノードまたはカソードに、すすぎでは除去できない変色や付着物が見られる場合には、濃硝酸(65%)で洗浄することができます。硝酸は強力な酸化剤であるため、関連する安全規則や指示に従って慎重に取り扱う必要があります。なお、硝酸の蒸気による腐食を防ぐため、事前にコネクタに緑色の保護キャップを取り付けてください。その後、電極を水で洗浄し、最後にメタノールで洗浄します。
2. ダイアフラムあり
塩のような残留物を除去するには、ダイアフラムありの発生電極を水で洗浄します。油性の汚れは、有機溶媒(例:ヘキサン)で洗い流すことができます。ダイアフラム上の粘着性の残留物は、以下の方法で除去できます:
- 電極のコネクタに緑色の保護キャップを取り付けます。
- 電極を直立した状態(例:エルレンマイヤーフラスコ内)に設置し、発生電極内の陰極液を入れる部分(陰極液チャンバー)に数 mL の濃硝酸(65%)を加えます。酸が隔膜を通って流れるようにします。
- 陰極液チャンバーに水を満たし、ダイアフラムを通して流し、硝酸を除去します。この操作を2~3回繰り返します。追加の洗浄が必要かどうかは、pH試験紙を用いてカソード側のpH値を簡易的に確認することで判断できます。
- 最後に、陰極液チャンバーにメタノールを満たし、流し出します。
これで発生電極は新品同様の状態となり、再び滴定セルで使用できるようになります。
メンテナンス(保守)
ダイアフラム付き発生電極を除き、カールフィッシャー電極は基本的にメンテナンスフリーです。ただし、ダイアフラム付き発生電極に充填されている陰極液は、時間の経過とともに分解する可能性があります。分解生成物が測定結果に影響を与えるのを防ぐため、メーカーの推奨に従って定期的に陰極液を交換してください。
保管
pH電極とは異なり、カールフィッシャー電極には乾燥する可能性のあるガラス膜が含まれていません。そのため、カールフィッシャー電極を保管するための特別な溶液は必要ありません。電極を頻繁に使用する場合は、滴定セルに取り付けたまま、カールフィッシャー試薬中に浸した状態で保持することが推奨されます。あるいは、すべてのカールフィッシャー電極(指示電極および発生電極)は乾燥状態で保管することも可能です。
注意事項
電極だけでなく、カールフィッシャー水分計全体の点検もお勧めします。メトロームではカールフィッシャー水分計の有料点検サービスも行っております。
容量法
液体または固体の水標準試薬(容量法に適したもの)を用いて、3回の力価測定を実施し、その平均値を算出します。続いて、水標準試薬の水分量を(同様に3回測定で)求めます。この際、力価測定に使用したものと同じ標準は使用せず、別ロットの標準、あるいは全く異なる標準を用いてください。算出した水分量を、標準に認証された水分量と比較します。
回収率が97~103%の範囲内であれば、滴定システム(電極を含む)は正常に機能していると判断できます。この範囲外の値が得られた場合は、滴定システムまたは測定手順に何らかの問題があることを示しています。試料分析の結果も、実際の水分量から逸脱している可能性が高くなります。したがって、高すぎるまたは低すぎる値の原因を特定することが重要です。原因としては、ビュレットシリンダー内の気泡や、モレキュラーシーブの劣化などが挙げられる場合もあります。それでも原因が特定できない場合は、メトロームジャパンへお問い合わせください。
電量法
低水分(0.1%)の水標準試料は、電量法カールフィッシャー水分計の状態を適切に確認するために利用できます。このような標準試料を用いて、水分量の測定を3回行ってください。得られた結果と標準の認証水分量から回収率を算出します。
回収率が97~103%の範囲にある場合、システムは正常であり、電極も期待どおりに機能していると判断できます。容量法と同様に、電量法においても回収率が逸脱した場合には、その原因を特定することが重要です。試料の正確な測定結果を得るために、問題を確実に見つけて解消してください。
避けるべきこと
- ケトン類またはアルデヒド類を含む溶剤(例:変性エタノール)を、KF電極やKFアクセサリの洗浄に使用しないでください。
- KF電極を超音波洗浄器にかけないでください。電極が破損する恐れがあります。
- 乾燥させる際は、最高温度を50 °Cとしてください。それ以上の温度では、電極を傷める可能性があります。
- 双白金線電極の白金ピンを曲げないでください。
まとめ
ご覧の通り、カールフィッシャー水分測定用電極を良好な状態に保つことは、実は非常に簡単です。定期的なクリーニングを行うことで、測定誤差を防ぎ、カールフィッシャー電極を長期間お使いいただけるようになります。