AN-NIR-068
2026-06
【技術資料】近赤外(NIR)分光法によるイソシアネート中のNCO含有率の測定
Fast, chemical-free determination of isocyanate content for polyurethane production
概要
ポリウレタン(PU)の原料であるイソシアネート中のNCO含有量を分析することは、最終ポリマーの特性を制御する上で重要です。ASTM D7252で用いられているような湿式分析法は、これらの有機化学種が大気中の水分と反応性を持つこと、およびその毒性のために困難を伴います。さらに、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)によるNCO含有量の分析には、多くのサンプル前処理工程と化学試薬が必要であり、各測定には最大20分かかります。
本アプリケーションノートでは、近赤外分光法(NIRS)が、イソシアネート中のNCO含有量を測定するための試薬不要かつより迅速な代替手段となることを実証します。OMNIS NIR Analyzer Liquidは、サンプル前処理を一切行わずに数秒でイソシアネートを分析します。
試験機器
イソシアネートの液体サンプルは、OMNIS NIR Analyzer Liquidを用いて、1000~2250 nmの波長範囲において透過モードで測定しました。内蔵の温度制御機能により30 °Cに設定することで、再現性のあるスペクトル取得を実現しました。簡便に測定を行うため、光路長8 mmのディスポーザブルバイアルを使用しました。すべてのデータ取得および予測検量線モデルの計算にはOMNIS Softwareを使用しました。
| 機器 | 型番 |
|---|---|
| OMNIS NIR Analyzer Liquid | 2.1070.0010 |
| ホルダー OMNIS NIR、バイアル、8 mm8 mm | 6.07401.070 |
| ディスポーザブルバイアル、8 mm、透過型transmission | 6.7402.240 |
| OMNIS Stand-Aloneライセンス | 6.06003.010 |
| Quant Developmentライセンス | 6.06008.002 |
結果
NIRスペクトル(図 2)は、対応するサンプル分析値とともに、イソシアネートの定量分析のための検量線予測モデルの計算に使用されました。検量線予測モデルの精度は、図 3に示す相関図を用いて評価され、NIR予測値とHPLCによる測定値との間に非常に高い相関があることが示されています。それぞれの統計指標(FOM)は、日常分析における予測の期待精度を示しています。
結果 イソシアネート中のNCO含有量
| R2 | SEC (%) | SECV (%) | SEP (%) |
|---|---|---|---|
| 0.983 | 0.30 | 0.33 | 0.39 |
まとめ
本アプリケーションノートは、PU生産のためのイソシアネートの品質管理にNIR分光法を使用することの実現可能性を示しています。NIR分光法を用いるとNCO含有量をサンプル前処理を一切行わずにわずか数秒で測定することができます。
湿式化学分析法と比較して(表 2)、結果が得られるまでの時間短縮はNIR分光法の大きな利点です。また、化学薬品が不要であるため、環境、化学物質、および健康に関する規制へのより良い測定環境に役立ちます。
| パラメータ | 方法 | 結果取得までの時間 |
|---|---|---|
| イソシアネート含有量 | HPLC | 約20分(前処理)+ 約20分(HPLC) |