AN-NIR-035
2026-06
【技術資料】近赤外分光法によるポリオールの水酸基価・酸価・水分・粘度測定
Determination of hydroxyl number according to ASTM D6342
概要
ポリオールは、2つ以上の水酸基を有することを特徴とする有機化合物の広範なクラスです。化学的・物理的特性が異なる合成ポリオールは、ポリウレタンの製造における原料としてしばしば使用されます。規格外製品の発生を避けるため、重合前におけるこれらの原料の品質管理は極めて重要です。ポリオールでは、水酸基価、酸価(酸数)、水分含有量、粘度といったいくつかの品質パラメーターを測定できます。分析には通常、滴定が選択されます(水酸基価はASTM D4274、酸価はASTM D4662およびASTM D7253)。この方法は時間がかかるうえ、再現性のある試料前処理、追加の有毒かつ腐食性の薬品、および廃棄物処理を必要とし、運用コストの増大を招きます。近赤外分光法(NIRS)は、試料前処理も化学試薬も不要で、ポリオールの多項目分析をより安全かつ迅速に行える代替手段です。NIRSは品質管理のツールとして規制当局に認められており、ポリオールの水酸基価の測定に使用できます(ASTM D6342)。
試験機器
ポリオール試料は、OMNIS NIR Analyzer Liquidを用い、35 °Cにて透過モード(1000~2250 nm)で測定しました。利便性のため、光路長8 mmのディスポーザブルバイアルを使用しました。すべてのデータ取得および予測モデルの開発は、OMNIS Softwareで実施しました。
| 機器 | 品番 |
|---|---|
| OMNIS NIR Analyzer Liquid | 2.1070.0010 |
| OMNIS NIRホルダー、バイアル、8 mm | 6.07401.070 |
| ディスポーザブルバイアル、8 mm、透過 | 6.7402.240 |
| OMNIS Stand-Alone | 6.06003.010 |
| ソフトウェアライセンス Quant Development | 6.06008.002 |
結果
NIRスペクトル(図2)と対応する参照値を用いて、ポリオール試料中の粘度、水酸基価、酸価、および水分を定量するための予測検量線モデルを作成しました。
予測検量線モデルの品質は、相関図(図3~6)を用いて評価しました。これらの図は、NIRによる予測値と、湿式化学分析法で測定した各パラメーターの実測値との間に非常に高い相関があることを示しています。それぞれの統計指標(FOM)は、日常分析における予測精度を示しています。
結果 ポリオール中の水酸基価
| R2 | SEC (mg KOH/g) | SECV (mg KOH/g) |
|---|---|---|
| 0.998 | 1.17 | 1.42 |
結果 ポリオール中の酸価
| R2 | SEC (mg KOH/g) | SECV (mg KOH/g) | SEP (mg KOH/g) |
|---|---|---|---|
| 0.990 | 0.13 | 0.20 | 0.21 |
結果 ポリオール中の水分含有量
| R2 | SEC (ppm) | SECV (ppm) |
|---|---|---|
| 0.994 | 9 | 10 |
結果 ポリオールの粘度
| R2 | SEC (mPa·s) | SECV (mPa·s) |
|---|---|---|
| 0.978 | 20.25 | 25.59 |
まとめ
本アプリケーションノートは、ポリオール中の水酸基価、水分、酸価、および粘度の分析にNIR分光法を使用できることを示しています。
湿式化学分析法と比較して、NIR分光法を使用した場合の運用コストは大幅に低減されます(図7)。
| ラボ法 | NIR法 | |
|---|---|---|
| 分析回数(1日あたり) | 10 | 10 |
| 測定者の人件費(1時間あたり) | $25 | $25 |
| 水酸基価の消耗品・薬品の費用 | $6 | $1 |
| 1分析あたりの所要時間 | 5 分 | 1 分 |
| 総運用コスト(1年あたり) | $18,188 | $2,063 |