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テリウム Te は、近年、太陽光変換技術や量子ドット、熱電技術において技術的に重要な元素の一つとして特定されており、新たな新興汚染物質となる可能性があります。これまでのところ、世界保健機関(WHO)の「飲料水水質ガイドライン」や欧州飲料水指令には、飲料水中のテリウム(IV)濃度に関する指針値は設けられていません。

飲料水中のテリウム(IV)濃度をモニタリングするためには、未修飾のscTRACE Goldを用いたアノードストリッピングボルタンメトリー(ASV)が推奨されます。本手法は、90秒の析出時間を用いることで、1 μg/Lから60 μg/Lの濃度範囲におけるテリウム(IV)の定量を可能にします。

本手法のメリットは、本用途に特化した革新的でコスト効率の高いセンサー、scTRACE Goldにあります。このセンサーは、作業電極、参照電極、補助電極が単一のセラミック基板上に一体化された複合センサーです。scTRACE Gold電極は、機械的研磨などの大がかりなメンテナンスを必要としません。測定は、実験室では884 Professional VAを用いて、または現場では946 Portable VA Analyzerを用いて実施することが可能です。

飲料水、ミネラルウォーター

図 1. 946 ポータブル VA アナライザー (scTRACE Gold)

scTRACE Gold は、最初の測定に先立って電気化学的に活性化されます。次に、水サンプルと電解液を測定容器にピペットで添加します。テリウム(IV)の定量は、表1に示されたパラメーターを用いて、884 Professional VA または 946 Portable VA Analyzer により実施されます。濃度の定量には、テリウム(IV)標準添加溶液を2回添加する標準添加法が用いられます。

図 2. 884 プロフェッショナル VA:VA分析用の半自動化システムの例
表 1. パラメーター
パラメーター 設定
モード DP – Differential Pulse
析出電位 -0.3 V
析出時間 90 s
開始電位 0.1 V
終了電位 0.8 V
テリウム(IV)のピーク電位 0.475 V
  • scTRACE Gold

90秒の析出時間において、本手法は水試料中のテリウム(IV)の定量に適しており、884 プロフェッショナル VA を用いた場合は濃度範囲 Te(IV) = 1~30 μg/L、946 ポータブル VA アナライザー を用いた場合は Te(IV) = 2~75 μg/L の範囲で測定が可能です。

図 3. ネラルウォーターに10 μg/Lのテリウム(IV)を添加した試料に対する定量は、946 ポータブル VA アナライザー を用い、90秒の析出時間にて実施されます。
表 2.添加ミネラルウォーターサンプルにおけるテリウム(Te)の測定結果
サンプル Te(IV) [μg/L]
10 μg/Lのテリウム(IV)を添加したミネラルウォーターサンプル 11.5
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Internal references: AW VA CH4-0600-082020, AW VA CH4-0602-092020