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カールフィッシャー反応の反応定数は、pH値に依存しています。したがって、カールフィッシャー試薬には安定したpHとそれに伴う安定した反応を確保するためのバッファー物質が添加されています。イミダゾールは、カールフィッシャー試薬において広く使用されるバッファー物質として知られています。

2012 年、欧州連合はイミダゾールが人間の健康または環境に対するリスクとなるかどうかを明らかにするために、物質評価の対象としてイミダゾールを選択しました。 2015 年にイミダゾールは CMR 物質として分類され、H360D (胎児に損傷を与える可能性がある) という記述が追加されました。

一方で、イミダゾールを含まない他の試薬も購入可能です。この技術資料では、34433 HYDRANAL™ NEXTGEN Coulomat AG-FIを用いた実験結果を要約しています。

異なる3種類の水標準品を使用しました。

  1.     34828HYDRANAL™水標準1.0
  2.     34446HYDRANAL™水標準0.1PC
  3.     34748HYDRANAL™水標準 KF水分気化装置用 220〜230°C

液体の水標準品はシリンジを用いて測定容器に直接添加しました。水分気化装置向け水標準品(固体)は、バイアルビンに分取した後、セプタムキャップで密栓しました。

一連の測定 (n = 6) は、ダイアフラムの無い発生電極(一液型)を用いて 2 つの水標準品 (液体:1 および 2、0.5 ~ 2.9 g の間で様々にサンプル 分取量を変えて) 行われました。 またダイアフラム付き発生電極(二液型)についても同様に6回の繰り返し測定を行いました。そのとき 陰極液には 34840 HYDRANAL™ Coulomat CG を5 mL 用いました。 さらに、気化装置向け水標準品 (3; 50 ~ 70 mg の間の様々にサンプル 分取量を変えて)においても 6回の繰り返し測定を行いました。その時の気化温度は 230 ℃でした。

次の3つの表に、測定結果を示します。

表1 . ダイヤフラムなし発生電極(一液型)を使用した水分測定結果(n = 6)
水標準品 回収率 相対偏差 s (abs) 変動係数 s (rel)
1(1000 ppm) 100.1% 0.056% 0.06%
2(100 ppm) 104.9% 0.654% 0.62%
表2. ダイヤフラム付き発生電極(二液型)を使用した水分測定結果(n = 6)
水標準品 回収率 標準偏差 s (abs) 変動係数 s (rel)
1(1000 ppm) 100.9% 0.298% 0.30%
2(100 ppm) 104.1% 1.446% 1.41%
表3. ダイヤフラム付き発生電極(二液型)を使用した水分測定結果(n = 6)
水標準品 回収率 標準偏差 s (abs) 変動係数 s (rel)
3 (5.55%) 99.29% 0.325% 0.33%

測定結果は、イミダゾールを含まない試薬を使用することで、正確かつ再現性のあることを示しています。

回収率は、97〜103%(1000 ppmと%オーダーの水標準品1、3)および90〜110%(100ppmの水標準品 2)でした。水分濃度が低い100ppm水標準品の変動係数および標準偏差は、1000ppm水標準品と比較して高くなっていますが許容範囲内でした。

電量法カールフィッシャー水分計のメソッドを変更する必要はありません。デフォルトのメソッドのままで使用できます。

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