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アンモニアは、最も広く製造されている化学物質の一つです。また、人体内や発酵過程で自然に生成され、さまざまな製品にも含まれています。さらに、土壌中の動植物の分解に伴う細菌作用によってもアンモニアが生成されます。

カカオの場合、アンモニアはカカオ豆の発酵過程で自然に生成されます。また、アルカリ処理の際にアンモニアを添加することは、カカオニブ*に濃い黒色を付与し、風味を調整するための一般的な手法です。


アンモニアは通常、イオンクロマトグラフィーによりアンモニウム形態に変換して測定されます。本アプリケーションノートでは、標準添加法を適用したイオン測定により、カカオニブ中のアンモニア含有量を信頼性が高く、かつコストおよび時間を節約しながら簡便に測定する方法を紹介します。


*カカオニブとは、チョコレートの原料であるカカオ豆を焙煎して粗く砕いたもので、カカオ豆の胚乳部分を指します。

カカオサンプルは、400 mLの希釈塩酸中で30秒間粉砕します。その後、ろ過を行い、ろ液をメスフラスコに移し入れます。得られたろ液に純水を加えて、メスフラスコの標線まで希釈します。

図 1. 標準添加法による測定には、tiamoソフトウェアによって制御される867 pHモジュールを用います。

ろ過されたサンプル溶液をビーカーにピペットで採取し、純水を用いて全体の容量が50 mLとなるよう調製にします。その後、高濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)溶液を加え、標準添加法にて測定します。

標準添加法は、図1.に示す装置を用いて10分以内に自動的に実施されます。試薬の段階的添加およびカカオ中のアンモニア含量の算出は、すべてtiamoTM によって自動的に行われます。

表1. には、 サンプル B およびサンプル X(カカオ)のアンモニア濃度を示しました。両サンプルは、ナチュラルおよびアルカリ処理された形態で測定されました。サンプル Bはアンモニアを用いてアルカリ処理され、サンプル X はアンモニアを用いずにアルカリ処理されました。

 

平均

 [mg/kg]

標準偏差SD

[mg/kg]

変動係数RSD

[%]

サンプル B 151.6 2.6 1.71
サンプル B, アルカリ処理 499.0 6.9 1.39
サンプル X 136.5 1.8 1.35
サンプル X, アルカリ処理 189.7 0.8 0.43

本アプリケーションノートでは、標準添加法を用いることにより、カカオサンプル中のアンモニアを簡便に定量する方法を示しました。標準添加法は適用が容易であり、システムの保守もほとんど必要としません。さらに、本手法はマトリックスの影響を受けにくく、外部の検量線を必要としないというメリットがあります。

得られた測定結果は、変動係数RSDが2%未満と良好な再現性を示しており、イオン濃度測定において非常に満足のいくものです。

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